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ロン物語14

辛いとき、お腹がすいているとき、寒いとき
心はただそれと戦っていて
迷っている暇などありませんでした。

でも少しずつ春の日差しが暖かくなってくると違ってきます。
シロは安心し、満ち足りた幸せを感じる時にかぎって、
必ず昔の生活を思い出してしまいます。
そう、おばあさんと暮らしていたときのことです。
今頃どうしているだろう・・・。すごく優しくしてくれたっけ・・・。

穏やかな風のないある晴れた日、
ロンと子どもたちがお腹いっぱい食べた後にシロはロンに言いました。

<ロン、ちょっと遠くに言ってくるけど、すぐ戻るからね。>
そうです。シロはおばあさんの様子をちょっとだけ見たかったのです。
見て、安心してまたここに戻ってくるつもりでした。

でもこれがシロとロンの永遠の別れになるとは誰も考えませんでした。
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テーマ : 児童文学・童話・絵本
ジャンル : 小説・文学

ロン物語12

12
シロとロンは2日間歩いてやっと住む場所を決めました。
そこは広大な芝畑の端でその向こうはただの荒地です。
人もいないし、他の犬のにおいもしないところでした。
それに雨をよけるのにちょうどいい古びた小屋もありました。

やっと安心、二人はしっかり抱き合ってお互いをなめあいました。

<ねえ、シロ。シロは家を出てきちゃって、後悔していない?>
<え?あぁ、してないよ、後悔なんかするものか>
そう言いながらシロはおばあさんのことを思い出していました、でも今はロンのことが誰より好きです。
<ロンは?あの広いおうち、思い出さない?>
<思い出すけど、戻りたいとは思わない。だってお家の人たちみんな、時計に心を食べられちゃったの。大きなハツカネズミのおじさんがそう言っていたの。
私は自分の生き方を自分で選んだの。>
ロンは空を見上げて言いました。

夏の風がロンの茶色の毛を撫ぜていきます。
ロンのお腹には可愛い赤ちゃんがいました。

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ロン物語11

11
二人の生活は、思っていた以上に大変でした。
いつもお腹をすかして食べ物を探さなければなりません。
それでもロンはシロに教えてもらって、
何とか生きていけるくらい食べ物を見つけることができるようになりました。

<これは食べられる草。この実も食べられるよ。>
<今の季節は人間が草に薬をかけるから、このにおい覚えておいて。
絶対口に入れちゃだめなんだ。>
<これ、よく道におちてるけれど、これも食べちゃだめ。
毒のある葉っぱを巻いたものなんだ。
<カラスがいるところは良く探すと、美味しい骨とか落ちてるよ。
それから落葉の中に食べ物が隠してあったりして・・・>

とにかくロンと一緒に生きていくことだけをシロは考えていました。
もちろんおばあさんの様子をみたいとも思いましたが、周りに雄の野犬が多くて
ロンを一人にしておくのが心配でした。
ロンは知らない人をすごく怖がっています。
雑木林の中でシロと一緒に過ごすこと、ロンは一番それを望んでいたので、シロもためらいはありません。ロンの幸せがシロの幸せでしたから。

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ロン物語10

10
ロンにとって家のすぐ近くでも
そこは別世界でした。
ロンは走りながら思いました。
<何もいらない、ただシロがいてくれればそれでいい。
もうおうちにはもどらない。もどりたくない・・・。>

シロはロンの先にたって走りました。角の白菜畑、そこにはもう白菜はなくて小さな芽が一列に顔を出していました。
そこを左に曲がればシロの家。
でもシロはまっすぐどこまでも走っていきました。そして小さな雑木林にはいって、
やっと二人は安心しました。
シロとロンはしっかり抱き合いました。
ロンもシロも幸せでした。
辺りは暗くなって肌寒くなってきましたが、
お互いのぬくもりを感じて、生まれて初めて心から安心しました。
それは生まれる前の、
お母さんのお腹の中にいたときの懐かしい感覚に似ているのかもしれません。
ロンはすべてを捨ててシロと一緒に来てしまいました。
そんなロンが愛しくて、シロは全力で守ろうと心から思います。
でも夜になるとおばあさんのことが頭をよぎりました。
<昼間、近くに様子を見に行けばいいことだ・・・>そう考えて目をつぶりました。

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ロン物語9


晴れている日にはシロは必ずロンのところに行きました。

シロはいろいろな不思議なことをロンに話します。
<ねぇ、ロン、虹って見たことある?
すごいよ
雨の後の空に架かる橋みたいで7色に光ってるの>
<すてき!!>
ロンが空を見上げたとき風がひゅ~と吹いてきました。
街路樹の牡丹桜の花びらが宙を舞って。
その時
き~
鉄の音がわずかに聞こえました。

それは庭から外に出る扉が動いた音でした。
いつもなら必ずしっかり閉まっているところなのに
今日に限って門が風に少しだけ動いています。

ロンは思わず駆け寄ってさわってみると、
簡単に開きます。

ロンはフェンスの外のシロのところに走りよりました。
シロははじめ驚いていました。でもすぐ力強く一言。
<行こう>

二人は鼻をなめあって

それから走りました。

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